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陸運会社の請負範囲

海上コンテナを道路輸送する陸運会社は、●トラクタ(略称:ヘッド、俗語:頭)と●海上コンテナ専用トレーラ(略称:シャーシ、俗語:骨)を所有し、シャーシの上に荷主所有の海上コンテナを載せ固定して輸送する。
海上コンテナ輸送では、海コン輸送のみが陸運会社の請負範囲。コンテナ船で海上輸送する陸海陸輸送でも、日本国内を陸上輸送する陸々輸送でも、請負範囲は変わらない。
海上コンテナの荷物の積み降ろしは荷主の責務。コンテナ船で運ぶ陸海陸輸送でも、日本国内の陸々輸送でも、荷主の責務。海コン内の荷物の損傷や数量不足などのトラブルに巻き込まるから、陸運会社の運転手はこの作業にタッチしない。荷主は機械化や省力化に投資し、陸運会社の運転手の労働環境は向上する、でしょう。
2024年問題

- 特例廃止
2024年4月から運送業の残業規制が特例廃止となり、運転時間の減少で物が運べなくなると大騒ぎ。需要が有れば供給が有る訳でマスコミの煽動でした。 - 荷待ち時間の解消
その中で焦点が当たった項目が荷待ち時間の解消。荷物を降ろし終わって運送業務の終了退出まで到着から最悪2時間や4時間が経過。立場の弱い陸運会社が可哀想だから強い立場の荷主は人員を増やせ!と。 - 自由競争
到着する車両、受領発送する荷物、に波があり、ピークに合わせて人員を増員すると閑散時間帯に人員が余る事になる。荷主のコストが上がり同業他社との競争に負ける。 - 行政のアリバイ作り
行政が主導して予約制をテスト導入。一日の荷物の積み降ろし作業工程を前日に正確に荷主が予測するのは不可能。作業員は病気をするし、身内の葬儀に参列する。交通渋滞や事故で車両の到着時間を陸運会社が正確に予定するのは不可能。事故等で予約時刻に車両が到着しなければ作業に穴が開く。積み降ろしする荷主側が困る。陸運会社に責任が発生するから2時間前や4時間前に到着。予約制よりも緩衝を持つ先着順が現状では妥当に見える。 - 費用対効果
そもそも大きな変革、大きな費用の投資、を必要としない改革は各企業で逐次進められているはず。労働時間の上限を一律に制限する働き方改革はアジア各国の追い越しを招き、日本が貧国へと落ちぶれて行く。働く時間を短くして陸運会社を運営して行くには、荷主負担での運賃値上げとなる。 - 解決策は海コン移行投資
運転手の働く時間を短くしつつ、運賃を値下げするには、一度に運ぶ量を増やす、待ち時間を無くす荷主投資が必要。大型トラックを海コンのトレーラ輸送に移行が必要。陸運会社は荷主の変化に適応する立場。陸運会社に主導権はない。荷主が投資しなければ運賃値上げを容認する事になる。自明の理。
トラックと海コンの輸送比較

トラック輸送の利点
- 大中小の車両サイズを選べる
トラックは、運ぶ荷物の量に合わせて小型、中型、大型、特大の中から最適を選べる。 - 片道で輸送完結
車台と荷箱が一体固定のトラック輸送は荷箱の中の荷物を運ぶビジネスモデル。A地点からB地点に運んだら輸送請負契約終了。B地点で次の輸送の仕事が始まる。 - ウイングトラックがある
荷台の両側面が鳥の翼のように開閉する構造のトラック。後扉から遠い荷台の奥も、横からフォークリフトで荷物の積み降ろしできる。
トラック輸送の欠点
- 荷積降待ちが発生する
車台と荷箱が一体固定のトラック輸送は、荷箱の中の荷物を運ぶビジネスモデル。車両到着後に荷積み荷降ろし開始。完了まで荷積み荷降ろし待ちが発生する。 - 荷積降の順番待ちが発生する
始業開始直後など荷届け車両集中の時間帯がある。終業直前など輸送荷物の出来上がりが集中する時間帯がある。積降作業員の適正数があり輸送車両の順番待ちは必要悪。そもそも悪でなく合理的。 - 翌朝翌週の夜間待機が発生する
車台と荷箱が一体固定のトラック輸送は、荷主の業務時間内に、荷箱の中の荷物を積み降ろしする。すなわち、業務時間を過ぎれば翌朝翌週の夜間待機が発生する。高速道路の駐車場の夜間混雑はここに原因の一端がある。輸送費コスト上昇の一因でもある。 - 車両の道路走行率が悪化する
①②③により運送会社車両の道路走行率が悪化する。これらの待機時間を費用項目として荷主に請求できず、運送会社は輸送費総額に組み込み、これらの待機時間の費用を荷主は払っている。 - 荷積降担当が不明瞭
輸送契約決定時点で、トラック荷積降担当が、荷主側か、運転手側か、明確でない場合がそこそこに有る。運転手が現場に到着した時点で、「これ積んで持って行ってね」「ここに降ろして置いてね」で運転手担当と判明する場合もある。 - 所有車両稼働率が低くなる
トラック運送会社は、運ぶ荷物の量に合わせて小型、中型、大型、特大。荷台形状で、平ボディ、バン、クレーン付き。サイズ、形状を揃えて荷主顧客の要望にワンストップで答えようとすれば、所有する車両の種類と総台数が増える。駐車場面積も増え、保管費用も増える。1台毎の稼働率が低くなる。 - 見積書作成、配車が複雑怪奇
トラック輸送では輸送する荷物の種類と数量を聞き取り、詰め込む荷物を容積計算し、輸送に使う車両サイズを選択決定する必要がある。
トラック輸送では運送会社の所有車両内訳は種々雑多。運転手の所有する免許の種類、それぞれの出勤日と空き車両の組み合わせなど、煩雑な配車プランは長年の経験が必須となる。

海コン輸送の利点
- 荷待ちがない
車台と荷箱が分離するは海コン輸送は中に荷物が入った海コンを運ぶビジネスモデル。荷積完了の海コンを載せて出発。荷積の海コンを降ろして輸送業務完了。海コン内の荷積降待ち無し。 - 荷積降の順番待ちが発生しない
荷積降の順番待ちは、到着車両数に対して、積み降ろしの場所や人員の不足により発生。海コンを運送荷物として受け渡す海コン輸送では、荷箱内の積降の順番待ちは発生しない。 - 翌朝翌週の夜間待機が発生しない
車台と荷箱が分離する海コン輸送は、(荷主の事前承諾、事業所守衛の当日承諾の上で)荷主の業務時間外の未明早朝昼休み業務終了後夜間に、海コン持上装置を操作して、輸送受諾荷物としての海コンを引取お届けできる。 - 車両の道路走行率が向上する
①②③により運送会社車両の道路走行率が向上する。これらの待機時間の消失費用を荷主と折半すれば双方がWin-Win。荷主側の海コンと持上装置の輸送投資だから荷主の取り分が多いかな?全部かな? - 荷積降担当が明瞭
海コン輸送では契約記載なくても荷積降担当は荷主側。海コン内の荷物の損傷や数量不足などのトラブルに巻き揉まれるから運転手は手伝ってもいけない。全世界共通だから荷主側が運転手に指示する事はできない。 - 所有車両稼働率が高くなる
海コン輸送では運送会社の所有車両は、シャーシ牽引用のトラクタ(ヘッド、頭)と、(40フィート海コンを載せる)シャーシの2種類。荷物の種類や量の多寡に応じてめったに使われない車両を揃えなくて、トラクタとシャーシの2種類だから所有車両稼働率はすごく上がる。車両保管のスペースと費用も節約できる。 - 見積書作成、配車が楽
海コン輸送では運送会社が輸送する荷物は海コン。荷箱内に詰め込む荷物の容積計算や輸送に使う車両サイズを選択決定する必要がない。輸送する日時と輸送地点A~Bが分かれば長年の経験が無くても見積書が作成できる。
海コン輸送では運送会社の所有車両は、トラクタとシャーシの2種類。所有する車両の内訳と運行予定、運転手の所有する免許の種類、それぞれの出勤日組み合わせなど煩雑な配車プランが要らなくなる。
海コンの欠点
- 大中小の車両サイズを選べない
大中小の車両サイズを選べないのは事実であるが、40フィート海上コンテナ(標準高8.6F、または背高ハイルーフ9.6F)を択一で使う海コン輸送は、そもそも中小の車両サイズの中小量の輸送は眼中に無い。 - 片道で輸送完結しない
車台と荷箱が分離する海コン輸送は、荷箱の海コンを運ぶビジネスモデル。A地点からB地点に運んだら輸送請負契約終了し、運送会社はB地点で次の輸送の仕事が始まる。
しかし、海コンの所有は荷主。B地点からA地点に海コンを戻す輸送を発注する必要が生じる。すなわち、(マッチングビジネスが存在しない現状では)、自前または他社協同で往復輸送が確保できる場合のみ、海コン輸送が利用できる。 - 両側ウイング開閉型が無い
海コンは妻側一面にしか扉が無いから、横からフォークリフトで荷物の積み降ろしできない。但し、持上装置で床に下ろせるから、フォークリフトで海コンの中に入って荷積降作業して下さい。